診療報酬については、厳しいわが国の財政状況のなかで、ネットプラス改定となり、薬価材料の部分は市場での値下がりを反映して一・三七五%引き下げられたものの、その分、医師等の人件費や技術料等の診療報酬本体部分は、一・三七九%増額(医科は一・五五%増額)されることになった。財務省等の大幅なマイナス改定圧力に対し、ネットならびに本体部分マイナスへの食い込みを阻止するための粘り強い陳情活動が功を奏したかたちとなった。
診療報酬は二年に一度改定されるが、小泉政権時代から診療報酬の引き下げが継続されてきた。
今回も、政府の行政刷新会議における診療報酬引き下げ提案や、財政難を理由に、診療報酬マイナス改定を求める財務省は、厚生労働省に対してネットで二・三%の大幅な診療報酬引き下げを求めていた。
しかしながら、日医連は、原中委員長を筆頭に全役員が一丸となって、地域医療が崩壊している現状、および国民が安心で安全な医療を受けられるための必要性を、特に医療政策に大きな影響をもつ与党民主党国会議員を中心に強く訴えてきた。
また、与野党厚生労働委員会メンバー、民主党厚生労働部門会議コアメンバー、超党派の医師国会議員等多くの関係者への陳情活動等地道な要請活動の積み重ねはもちろんのこと、各都道府県医師連盟ならびに郡市区医師連盟の協力のもと、地元国会議員への働きかけを行うなど、地方との共同歩調を取ることで、より強力なバックアップ体制を得ることができた。
これらの働きかけにより、十二月十六日開催の民主党厚生労働部門会議においては、医療に理解を示す党国会議員が会場に大勢集まったため、診療報酬プラス改定への意見が大多数を占めた。当部門会議は、このことを重く受け止め、平成二十二年度改定率を下回らないように求める決議を取りまとめ、政府および党政策調査会に対し要望した。また、前々日の十四日には、「民主党・適切な医療費を考える議員連盟」の会合において、同様にプラス改定への決議が取りまとめられ、輿石東民主党幹事長に要望されていた。
これらの絶え間ない要請活動が国会議員の理解につながり、関係閣僚間での合意のもと、今回の診療報酬プラス改定という大きな成果につながったものと思われる。

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