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2010/9/1(Wed.) 第62号 123・4/4 INDEX
原中日医会長 仙谷官房長官を訪問
消費税損税問題などの解決を要望

原中日医会長 仙谷官房長官を訪問/消費税損税問題などの解決を要望(写真) 原中勝征日本医師会長は六月二十三日総理官邸に、仙谷由人官房長官を訪ね、二〇一〇年度の診療報酬改定の検証、控除対象外消費税、混合診療全面解禁への懸念に対し、それぞれが抱えている重要な問題点を説明し、その解決を強く要望した。
 四月から引上げ改定された診療報酬の検証では、医科の入院+三・〇三%(医療費ベースで四千四百億円)、外来は+〇・三一%(医療費ベースで四百億円)であったものが、日本医師会が全国の医師会員を対象に実施したレセプト調査結果では、総点数(医療費に相当)の伸び率は、入院対入院外が十対一であった。
 まさに診療報酬改定率に沿った結果であり、病院に重点配分されたことが窺える。また、病床規模別でもより大規模な病院に重点配分された結果が歴然と出ており、その改善を強く求めた。
 控除対象外消費税に関しては、菅内閣が打ち出した「強い経済」「強い財政」「強い社会保障」の一体実現に共感するとし、日本医師会は消費税を中心とする安定財源の確保も避けては通れない課題であるとの認識を明らかにした。
 ただし、消費税の見直しを行う場合には、現在、医療機関が負担する控除対象外消費税は社会保険診療(収入)の三%近くに上っている。これは国が主張している一・五三%の上乗せ分を大きく上回っており、「損税」として医療機関の大きな負担になっている。このため、消費税引き上げの際には、社会保険診療の非課税を仕入税額控除が可能な課税制度に改め、かつ患者負担を増やさない制度への見直しが不可欠であることを強く説明した。
 仙谷官房長官はこれに対し、医療機関の消費税損税問題は「十分認識している」と理解を示した。
 混合診療の問題では、まず、混合診療原則禁止の法的根拠が曖昧という問題点があり、国に対して法律の見直しを要望する。次に、混合診療全面解禁での懸念としては、一.公的医療保険の給付範囲の縮小、二.公的医療保険に対する信頼性の低下、三.患者負担の増加(保険外医薬品等は全額自己負担である。これらは自由価格で提供できるので、価格が高止まりする可能性があり、患者負担は決して小さくない)。
 日本医師会は国民皆保険の堅持という立場から、混合診療の全面解禁には反対である。政府としても、所得によって受けられる医療に差がつくことがないよう、現在の国民皆保険をしっかりと守っていただくよう要望した。
 以上、官房長官ご就任の挨拶とともに、喫緊の医療課題として理解を要請した。

以上

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